AX(伊坂幸太郎)|腕利きの殺し屋は、恐妻家で家族想いのお父さんだった

AX 伊坂幸太郎

伊坂幸太郎さんの『AX』を読みました。
『グラスホッパー』『マリアビートル』に続く、殺し屋シリーズです。

殺し屋シリーズは、会話の軽妙さが癖になるのですが、本作は主人公の恐妻家というキャラがその会話の面白さ(可笑しさ)を際立たせていました。物騒な話なのに笑ってしまいます。

主人公「兜」は腕利きの殺し屋なのに、奥さんの前ではタジタジ・・・
そんなギャップがとても面白かったです。

あらすじ

主人公の兜は、依頼された仕事をきちんとこなし続ける、腕利きの殺し屋だが、家庭では妻のご機嫌を損ねないように、一挙手一投足に気を付けて過ごしている。高校生の息子はその姿を見て呆れている。

家族にばれないように殺しの仕事を続ける兜だが、息子が生まれたときから、この殺しの業界から足を洗いたいと思っていた。引退するための金を稼ぐため、仕事を選びながら続けいているが、ある時、襲撃を受ける。

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レビュー

おすすめ度 ★★★★★(5/5)

殺し屋シリーズの第3作目です。今作の殺し屋はなんと妻子持ちのお父さん。

殺しの仕事は一流なのに、家庭に帰ると妻にペコペコしたり、息子と親子の普通の会話をしたり。一人のお父さんとして、家族を深く愛しているのが伝わりました。

殺しの場面もありますが、家族団らんの場面も多く描かれています。
他の2作品のように、ハラハラ、スリルを感じる量は少ないかもしれませんが、その代わり、敏腕な殺し屋が奥さんの心理を真剣に読み取り、円満な家庭を維持しようとする様子は、平和すぎて面白かったです。

お父さんとしての葛藤や愛を感じる作品でした。

感想

とにかく「兜」のキャラが好きでした。
恐妻家で、家族想いで、でも殺しの仕事はきちんとこなすシゴデキなお父さんです。
ただ、子どもが生まれてからは、まっとうに生きていない自分が父親なんて、という後ろめたさがあり、殺しの業界から足を洗おうとしています。

子を持つ親として、一番心に残った言葉はこちら。

「あのな、俺が一番やりたいことは何なのかわかるのか」
「知らないよ」
「息子の進路を心配することだ。学校でも何でも、ああでもないこうでもない、とおまえの人生のことで頭を悩ませるのが、俺のやりたいことなんだ」

AX(伊坂幸太郎)

分かる。

子どものことで色々悩むけど、親だからこそ悩めるんですよね。子どものことが大好きで、心配で、でも、一人前になってほしくて。殺し屋でも、そうでなくても、親としての気持ちは同じなんだと、兜に親近感を強く持った会話でした。

奥さんの前では、本当にそこまで気を遣っておびえなくても、というくらい奥さんの言動の裏の裏の裏の意味まで深慮していて、面白おかしかったです。殺し屋と言う物騒な仕事とのギャップが激しいですね。

シリーズものとしては、前2作に登場した人物が所々に出てきて、「知ってる、知ってる!」と嬉しくなりながら読み進めました。前作を読まなくても十分話は理解できますが、前作を読んでいたほうが、あの時の話ね~と内容を楽しめると思います。

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