SNSで話題になっていた本で、ずっと読んでみたかった『六人の嘘つきな大学生』。
先日、図書館で偶然発見した瞬間、嬉しくなりました!
末っ子のお世話をしながら読書をしているので、どうしてもちょこちょこ読みになってしまうのですが、この本は続きが気になって仕方がなく、夜更かしして一気読みしてしまいました。

伏線が少しずつ回収されていくので、どんどん先が読みたくなり、止まりません。
この本はこんな方におすすめ
✓ 怖くないミステリーを読みたい人
✓ 就職活動を経験した人、これから経験する人
✓ 伏線回収を楽しみたい人
多面性がテーマの物語
六人の就活生がとある有名企業の就職試験に挑みます。
最終試験のグループディスカッションで見つかった一通の封筒。
その中には、六人の知られたくない事実の告発文が書いてありました。
告発文を用意したのは誰か、犯人捜しをしながら、グループディスカッションが進んでいきます。
告発文によって知られたくない事実が暴かれると、コロッと態度を変えていく就活生たち。
え、さっきまでの良い人そうな顔はどこに行った?
就活という人生の岐路に立たされている状況がより一層、暴かれた別の顔を引き立たせていました。
就活経験者なら、嘘や見栄に共感できるはず
わたしも就活を経験した一人です。
確定されていない自分の未来に対して、焦って心が落ち着かない日々でした。
そんな日々に少しでも早く終止符を打ちたい。
就活生なら、だれもがそう、思うはず。
だからこそ、多少自分を良く見せようと、過大に表現したり、良く見せようとしたりもしました。
まさに、嘘や見栄ですよね。
そんな様子がこの話の節々にも見られます。
企業側に良く思ってもらいたい、採用してもらいたいとの一心で、大なり小なり、嘘をついたり、話を盛ったりして、自分を良く見せようとしています。
なんだか昔の自分がチラリとよぎって、むず痒かったですし、その気持ちもわかると共感しました。
きっとわたしだけではなく、就活を経験したことのある人ならば共感できると思います。
多面性を認めて前向きに捉える
この物語は2部構成です。
前半はグループディスカッション終了まで、後半は就職後から数年経ったお話。
前半は告発文を皮切りに、『いい人だと思ったのに』と裏切られます。
ただ、この告発文も、後半を読むにつれ、ただの一面にすぎないことに気づかされます。
後半に、これまでの伏線をどんどん回収していき、また違った六人の就活生の顔を見ることになるからです。
どんな人にも、いろんな顔がある。
ある方向から見るとマイナスに見えることも、別の方向から見るとプラスになることも。
その逆も然り、ですが。
マイナス面だけで人となりを決め込まずに、人の多面性を認めて、前向きに捉えることの大切さを教えてくれた本でした。
おわりに
おもしろい就活ミステリーと聞いて、怖い内容なのかなとちょっとドキドキしながら読んだ『六人の嘘つきな就活生』。
実際は、就活生の心情をリアルに描いたとても前向きで、人の温かさも感じた物語でした。
殺人とか、グロいお話は一切ありませんよ。
それに、グループディスカッションの開始から、本当に犯人が分からなくて、一体誰なんだ?と謎解きのスリルもあります。
ミステリーが好きな方はもちろん、ミステリーが読みたい、でも、怖かったりドロドロする内容は苦手という方にも、おすすめできる一冊です。


