青山美智子さんの『人魚が逃げた』を読みました。
面白かったです!特に、最後のエピローグではこれまでの伏線が一気に回収されました。
ほんわかした優しい雰囲気に包まれながらも、どこか秘密やトリックが隠されている青山さんの作風は癖になります。
読んでいる最中は癒されるのに、読んだ後はアレ?そういうことだったの!?と軽い衝撃をうける作品でした。

読んだ後はすぐにもう一度読み返し、散りばめられた伏線を楽しみました!
あらすじ
童話の王子様のような外見で「人魚」を探しているという男性が銀座にいました。
年上の恋人に本当の自分を出せない社会人男性、娘の旅立ちに心配と寂しさを感じる女性、妻と離婚し孤独を感じる定年男性、明るい妻と内向的な自分のギャップに悩む小説家、そして、いつか恋人が離れてしまうことを恐れているホステスのママ。
とある日、それぞれは銀座で王子と出会い、「人魚姫」の童話を通して自分の大切なものを再認識します。
レビュー
おすすめ度 ★★★★★(5/5)

とても優しくて、前向きになれる一冊です。
どの登場人物も、自分の中で気持ちがくすぶっていて後ろ向きなのですが、王子との出会いを通して、それぞれの大切なものを再認識して、前を向いて進んでいきます。
その姿がどれも爽やかで、心が洗われるような感覚になりました。
そして、ただ優しいだけの小説ではなく、至る所に伏線が落ちていて、最後のエピローグで回収される構成は見事です。青山さんらしい作風ですが、何度読んでも凄いなと思ってしまいます。
物語自体もとても良い内容ですが、二度読みしてどこに伏線が隠されていたか探すのも楽しめる本でした。
感想
一番印象に残ったのは、『人が見ていないときにやってしまうこと。それが本当にやりたいこと。』という言葉です。
他の人と比べて、得意なことや秀でていることがないわたしにとって、とても響いた言葉でした。
この作品の中では、まもなく海外で仕事を始める娘のお母さんが、これまでの育児中心の生活を振り返りながら、やりたいことを見つけて一生懸命になっている娘が眩しいと感じつつ、自分はそんなものが無かったなあと寂しくなります。
ですが、最後に娘さんからは『毎日を作ってくれた』と感謝され、自分が家族を大切に想ってきたこと自体が大切なものだと気付かされます。
丁寧に観葉植物を育てたり、服を大切に手入れしたり、お弁当に旬のお野菜が入っていたり。そんな毎日に感謝しているという娘さんの言葉に、まさに今育児中心の自分が救われたような気がします。毎日必死で子どもを守っている日々を認めてくれたように感じました。
また、自分のやりたいことって何なんだろう?と数年ぶりに自分に問いかけることも増えました。
人が見ていないときにやってしまうこと・・・
読書、クッキー作り、資格の勉強、ブログの更新・・・もっと見つめ直すと色々あるはずですが。
この本をきっかけに自分のことを振り返ることができて良かったと思います。
あとは何といっても、ラストの伏線回収がすごかった。
連作集の中に繋がりがあって、最後にまとめてタネ明かし、というのが青山さんの作風ですが、この本が青山さんの作品の中で一番好きでした。
ちらっと登場している人まで最後のエピローグを読むと、「そうだったのね!」と驚きがありました。
読後はそんな嬉しい驚きと、満足感を感じることができました。

